地球深部探査船「ちきゅう」見学 Part2

 この船は海底油田を掘削するオイルリグに自力で航行できるディーゼル電気推進システムと掘り出したコアを調査研究するための大規模な研究室が設けられているのだ。

c0041039_16365012.jpg 赤い作業服を着たドリルマンと呼ばれている人達は映画などで偶に見る中東の油田で働いている技術者とイメージが重なる。この船を運航する官庁船らしい船員と荒っぽそうなドリルマン、それに世界各国からやって来る優秀な研究者達と毛色の違った人々が集まって未知の地球内部を明らかにしようとしているのだ。
 特に日本の地球物理学者や地震学者は近く熊野沖の南海トラフで発生が確実視される南海地震の発生メカニズムの研究やその実証に力が入っているようだ。

c0041039_16385886.jpg ラボを見学すると、どこの病院にもあるCTスキャンが設置された部屋がある。掘削され、地底のままに密封されたコアの中身をCTスキャンで素早くチェックする。このCTは人用でソフトも共用なのでモニター画面には人型のシンボルが出てくるとか。ベットに乗っているのが採掘されたコア。
 最近では犯罪など死因の確認にもこれを使いたいと言っているらしいが、死体はもう健康保険に入ってないので費用の出所がないので当分は駄目でしょうね。

 ボクが面白いと思ったのが地球内部の生命(微生物)活動を調べる「生命探査」の分野だ。地球の約7割を占める海洋、深海底のさらに奥深く、海洋地殻とよばれる地球の内部環境にも、実は小さな生物(微生物)が大量に生息している。「海底下生命圏」という。そこは太陽の光が届かない暗黒の世界である。そこに生きる微生物の食べ物は海水から沈降する有機物を食べるので従属栄養微生物と呼ばれている。

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 それらは地質学的スケールで生息している。一代が数百年~数千年生き続ける、とっても長生きな生物なのだ。確かに地底深くで生息していると海水に溶けた栄養が地中まで届くのに時間がかかるし、地中を自由に移動できないので、彼らはずーっと腹を空かしたまま静かに生きているんだ。なかなか子孫を増やそうという気が起こらないのは当然だね。

 火星に生命は存在するのかと、昔から盛んに論議されているが、我々が住むこの地球のどのくらい深いとこまで生命が存在するのかはこれからやっと議論が始まる。海底下の深部に広がる「生命圏の果て」を知る手段は今のところの日本とアメリカが主導する「ちきゅう」の掘削にかかっているという。

 昨年、八戸沖80kmの海底で、石炭層の上にある深さ350mのメタンハイドレートを含む火山灰層から極めて活性の高いバクテリアの凝集構造が検出されたというお話があり、そしてこれらのバクテリアの数を正確かつ自動的に計数するモデルを開発して有名な「ネイチャー」にその論文が掲載されたと、ちょっと自慢げな話もあった。

 論文に詳しいボクの友人にこの話をすると「論文はネイチャーに掲載されるのが値打ちではなく、どれだけ皆さんに引用されたかが大切なんだ」とおっしゃる。
 それは勿論そうだ。生命探査のような未知の分野では、まだまだ面白い発見も多そうだし、ネイチャー好みの新しいネタもある。でもこの分野の研究者はまだ少なそうなので引用数はどうでしょうかね。

 でもボクは結構面白い分野の研究だと思いましたがね・・・。

【参考資料】:人類未踏のマントルを目指して-「ちきゅう」の科学的成果- セミナーのパンフレットより
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by pac3jp | 2009-02-19 16:43 | 特殊船  

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