掃海艇 MSC676「くめじま」

 「くめじま」は神戸港のJMSDF阪神基地隊にある第42掃海隊に所属する中型掃海艇だ。ヨットハーバーを出港すると阪神基地隊の岸壁に係留しているのをよく見るし、国体セーリング競技などでは警戒船の任務についていたので割合お馴染みである。最近は神戸港の浚渫工事で終戦時に投棄された古い砲弾などがよく出てくるので出動の機会も多いらしい。

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基準排水量:490t
主 機 械:三菱6NMU TA(B)I型ディーゼル900PS×2基 1800PS 2軸 CPC 
速   力:14kt
主要 兵装:20ミリ機関砲x1 掃海装置一式
主要 寸法:58x9.4x4.2x2.9m(長さ、幅、深さ、喫水)
定   員:40名

 掃海艇の主たる任務は警備区内における対機雷戦、港湾や航路を封鎖した機雷を排除し航路を啓開することだ。その機雷の中には磁気を感じて爆発する磁気機雷などから艇の安全を確保するため船体構造は磁気を感じない木造(高級な米松・合板)でエンジン等はアルミ合金、機械装置はSUS、錨およびチェーンなど重さや強度の必要なものは非磁性のマンガン鋼などで作られているという。

 案内して頂いた当直クルーからこの「くめじま」が直前に行われた掃海艇の全国大会に当たるのだろうか、平成20年度掃海訓練(日向灘)において3年連続の1位になったのですと、壁に飾られた真新しいプレートを誇らしげに教えてくれた。

掃海訓練とはどんなことをやっているのだろうと調べてみると、

 掃海訓練は掃海母艦や航空機による機雷敷設、航空機から敷設される機雷の位置や数を特定する機雷監視、そして敷設した訓練用機雷を実際に除去する機雷排除など「機雷戦」に関する戦術、技量の向上を目的としていて各艇の成績に応じて順位がつけられるのだ。

まず、11/11 ニュースリリースから(海自)

■平成20年度掃海訓練(日向灘)の実施について

 海上自衛隊は、次により、掃海訓練を実施します。
1.期 間:平成20年11月21日(金)~12月1日(月)
2.訓練海域:日向灘
3.訓練統制官:掃海隊群司令 海将補 松本 幸一郎
4.参加部隊等:海上自衛隊:艦艇 25隻(掃海母艦×2隻、掃海艦×3隻、掃海艇×20隻)         航空機 2~3機(MH-53E×2~3機)
5.主要訓練項目:訓練機雷を使用しての掃海訓練及び潜水訓練

 11月21日から始まる掃海訓練に参加するため19日には宮崎県・油津港に北は函館、南は沖縄から続々と掃海部隊が集結した。大小艦艇25隻、兵員1300人。いつもはガランとした静かな港も軍艦色で一杯になり、町は制服であふれていたのだろう。
 経済効果も大きいのか地元市長さんが歓迎の挨拶を述べている地元新聞の記事があった。

 この掃海訓練も昨年は漁業補償の折り合いがつかず別の海域で実施したそうだ。確かに底引きに適した水深は機雷を敷設するのにも丁度具合がいい深さなんだ。そこで10日間も漁業権をもつ海域が掃海訓練に使われると漁協も仕事が出来ず大変だ。帝国海軍の時代はいざしらず今では海自も予算と交渉力も必要になっているようだ。

 訓練8日目の11月29日付け、宮崎日日新聞によると、
海上自衛隊呉総監部(広島県)は28日、本県の日向灘での掃海訓練で使用した訓練用の模擬機雷1個を流出したと発表した。
 海自は来月1日までの訓練日程を切り上げ、掃海艇24隻やP3C哨戒機で捜索している。機雷には火薬1グラムが入っているが、爆発の危険性は低いという。
 同総監部によると、流出した模擬機雷は黄色の円筒形で金属製。長さ約250センチ、直径約50センチ、重さ約400キロで浮力がある。日南市・油津港の北東約20キロ(水深約120メートル)の海中に設置され、25日午後4時に掃海艇が確認したのが最後という。


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 報道によると、どうも訓練用の音響感応機雷(画像右上)が行方不明になったようだ。訓練用機雷は、訓練が終われば回収して再使用するので、「ストロベリー」(訓練機雷揚収浮標)と呼ばれる赤い三角形の表示ブイが、一定時間を経過すると海面に浮き上がり敷設位置を知らせる仕組みになっているというが、小さいブイは航行する船舶に持っていかれた恐れもある。機雷に浮力もあるらしいのでロープが引かれたあと深みに落ちてしまったり、潮に流された可能性もある。火薬が入っていると報道されているのは多分標識のフレアー用だろう。

 こんな模擬機雷のトラブルで掃海部隊は訓練を中止し、本式に全部の掃海艇とP3Cまで投入して掃海することになってしまった。結果はどうなったか聞いてないが広い海でたった1個の機雷を捜すのは難しい。
 もしこれがテロリストが敷設した本物の機雷だったら日向灘の海上交通は大きく制限されてしまうだろう。たった1個の機雷にために。そしてその機雷を掃海し、排除するまでには長期間の兵力が必要になってくる。

 掃海艇の業務には「同じ作業を辛抱強く繰り返す根気と忍耐が必要」といわれ、ボクから見ても尊敬に値するが、それに加えて本来の掃海技術も国内トップの掃海艇「くめじま」がお近くの阪神基地隊を母港にしている。今までは何とも思わなかったが、これからはちゃんと敬意を表さねばならないな、と思っている。


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by pac3jp | 2008-12-12 13:40 | ウオッチング  

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