地球深部探査船「ちきゅう」が神戸港で修理中

 神戸港、六甲アイランド西側の公共岸壁に高い掘削やぐらが大きなコンテナクレーンを遥かに凌ぐ高さを誇って、遠くから見ても「ちきゅう」が停泊しているのが一目で分かった。
 2006年6月に四突のポートターミナルで一般公開していたので今回もその準備かなと思って近くに行ってみると、オイルフェンスも張ってあり、どうも何かの工事をしているような感じである。前回は都合で見学出来なかったので今回は是非ともと思っていたのに少し残念。

 帰って調べてみると、
今年2月からの始まった「ちきゅう」の中間検査の際、アジマススラスター(船位保持のための360°回転可能な推進機)のギア損傷が判明し、佐世保造船所においてドライドック工事(後部2基のアジマススラスターギア交換)をしたのち、平成20年11月19日~平成21年2月下旬まで神戸港岸壁における工事(残り4基のアジマススラスターギア交換)を実施すると独立行政法人海洋研究開発機構から発表されていた。

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長 さ:210m
幅  :38m
喫 水:16.9m
総屯数:57,087トン
乗組員:150名
速 力:12ノット(巡航10ノット)
海面からの櫓の高さは121mある。

c0041039_8385198.jpg 左の画像はアジマススラスタの作動表示パネル

 「ちきゅう」のDPS(自動船位保持装置:Dynamic Positionig Sistem)は最大で風速23メートル/秒、波高4.5メートル、海上流速3-4ノットまでの環境でその能力を発揮することができ、数ヶ月、長ければ1年間以上もほぼ定点に留まることが可能となっている。このため船底に6個のアジマススラスタとバウには普通のサイドスラスタも装備されていてGPSや各位置センサーから得る情報を元にコンピュータが処理し、各ユニットの動きを管理しながら船位を保ち、長く続く掘削中も全長210mもある大型船が定点から15mくらしか外れないとか。

 「ちきゅう」のパワーユニットは
三井ADD型ディーゼルエンジン:7,170HP×6基 これと連結される主発電機は5,000kw×6基、それとは別に補助発電機:2,500kw×2基があり合わせて発電設備として35,000Kwの出力を持っている。

 因みにアジマススラスターはプロペラ直径3.8mで出力4,200Kwのものが6基あり、ユニット1基の重量は160トン、うち20トンがモーターの重量であるという。(下画像参照) それにバウのサイドスラスタ 2,550kw×1基がある。

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 掘削作業は、海面に浮かぶ船から海底に、太く長いパイプを伸ばし、その中のドリルパイプが海底下約7,000mの深くまで堀り進んで次々とコアを堀り出してゆく作業をするわけだ。本船は定点にいるといっても本当に大丈夫かなぁとボクはそう思うが、深い海ならパイプの揺れはある程度は許容(パイプの長さの5%までとか)されても、浅い海では支障が出るらしく「ちきゅう」は水深500mより深い海で運用することになっているそうだ。

 でもボクの疑問は「ちきゅう」はまだ建造されてたった3年の中間検査の段階で深海掘削船の主要な装備であるDPSのアジマススラスターのギヤ損傷が発生し、今回、約10億円もをかけて修理工事をするわけだが、まだそんなに「ちきゅう」を酷使するほど使ってないだろう。故障がちょっと早いのではと思い調べて見ると、

 中間検査の開放検査で損傷が発見されたアジマススラスタのベベルギア(回転方向を直角に曲げるときに使うギア)には、

●ホイールの歯元に垂直シャフト側(ピニオン)の歯先が接触することなどによるギア表面からの亀裂発生。 (上の左画像を参照)
●浸炭焼入れ深さ不足等による内部せん断応力に対する強度不足あるいはギア内部に介在する不純物によるギア内部からの亀裂発生。

 と、設計・製造上の欠陥から損傷が発生したので現在使用しているギア全て(6基)については、設計変更して新たに製作するギアに交換することとした。と発表されている。

 神戸港で工事が終わった平成21年3月中旬から「ちきゅう」は紀伊半島沖の熊野灘において機器確認、試験掘削等を実施し、その後IODP(※統合国際深海掘削計画)によるライザー掘削を開始する予定だという。

 先に東シナ海のガス田開発などで中国とEEZの解釈などで色んな問題が発生していたが、これからは大陸棚、あるいは深海底に存在する資源などの調査も近隣国に負けず積極的に行い、日本の正当な国益を守り次代につなげてゆかなくてはならない。このIODPの地球環境変動、地球内部構造、地殻内生命圏等の解明などが国益とつながるかどうかは分からないが、全く未知の世界、マントルの奥深くまで新しい発見を求めて頑張って来てください!!

統合国際深海掘削計画 (IODP: Integrated Ocean Drilling Program)とは
日・米を主導国とし、平成15年(2003年)10月から始動した多国間国際協力プロジェクト。現在、欧、中、韓の21ヶ国が参加。日本が建造・運航する地球深部探査船「ちきゅう」と、米国が運航する掘削船を主力掘削船とし、欧州が提供する特定任務掘削船を加えた複数の掘削船を用いて深海底を掘削することにより、地球環境変動、地球内部構造、地殻内生命圏等の解明を目的とした研究を行います。


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【参考Web】:フリー百科事典『ウィキペディア』より「ちきゅう」
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by pac3jp | 2008-11-28 08:47 | 特殊船  

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