ドジャーの防水強化

 クルージングヨットにとって今や必需品になった感があるドジャーだがビルダーがオプションで取り付けてくれる純正品からセールメーカーやドジャーなどキャンバス製品を専門に製作する業者まで様々なタイプのドジャーを作り提供されている。
 ドジャーがあることを前提にデザインされたデッキにビルダー純正品のドジャーが想定している条件といえども「波穏やかな季節に沿岸を数日のクルージングを快適に過ごせる程度」と規定しているのだろうか。

 風が吹き上がり、波が高くなると打ち込む海水がデッキを流れ、ドジャーとデッキの隙間から遠慮なくコクピットに流れ込んでくる。普通はここがコクピットで唯一のドライな空間なので何やらと物を置いているがやむなく移動。ドジャーの隙間にタオルを押し込み、水を止めようとするが効果なし。と、このような経験をお持ちのヨットマンは多いと思う。普通のドジャーは荒天など全く想定もしてないのだ。

 ボクのお仲間に小笠原・母島に毎年シングルハンドでクルージングしているヨットマンがいる。彼のヨットはその厳しい外洋航海の戦訓を取り入れ毎年改良され、翌年その効果が試され正式採用になる。そして、ヨットは小笠原スペシャル仕様艇としてに磨きがかかってゆく。

 今年4月、7回目の航海は並みクラスの時化ではあったが、稀に発生する大波に襲われ横転してしまった。その時、艇内では頭上からベルトを引きちぎった電子レンジが、そして色んなものが棚から飛んできたとおっしゃる。ヨットが起き上がると、寝ていたバースは棚の物品や食器の破片でもう一杯。仕方がないのでタックを変えて反対バースで一寝入れする。
 荒天の夜が明けてデッキを見ると横転のため、落水防止に張ってあるネットの水圧で2本もスタンションが曲がっている。そして、ドジャーの裾から大量の海水が打ち込み、まず裾のスナップ部分が3ヶ所破れ、ドジャー前面のボルトロープがグルーブから外れてしまったのだ。荒天の海でドジャーを失うとつらい。その後、なんとか応急的にリカバリーして航海を続けたとおっしゃる。

 今年の小笠原スペシャル艇の改造テーマのまず一つはドジャーの防水強化と決まり、工事が始まったので、度々見学させてもらった。

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画像1.出港まえのドジャー左舷側。これでも前方から海水の打ち込みには充分耐えていた。キャンバスはシリコンを含浸させ防水を強化してあるが埃は付きやすい。
画像2.ドジャー左舷裾の下から波が打ち込み取り付けスナップ部分が破損して前面のグルーブが壊れる原因になった。
画像3.ドジャーとデッキの隙間を埋める木製ベース。
画像4.コントロールラインが通る最小の穴を開けたアクリル板を長めに張りつけ同時にドジャーのボルトロープを通すタフラグを取り付けてゆく。

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画像5.アクリル板とデッキの隙間を埋め防水する。ドジャーをセットし確認する。
画像6.ドジャーの裾沿いにウオーターブレーク用のチーク材を両舷共ビスで貼り付けてゆく。
画像7.ドジャー前面、アクリル板とタフラグ、それにデッキのカーブに合わせてを幅広のシートで張りつける。後からロープ用の穴を開けロープを通す。完成画像(前面)
画像8.ドジャーの裾沿いに貼り付けたチーク材の上からドジャーの下から海水が入らないようにアクリルのカバーをつける。同時にハンドレールが貫通する部分にも水止めの処置をする。完成画像(側面)

 ドジャーの防水補強が出来ましたねと、お話しをしているとコクピットに真新しいチークのバラ打ちシートが出来ていた。濡れたコクピットはお尻が濡れて気持ちが悪い、これがあれば快適だとおっしゃる。殆どオーパイなのになぜ?と思ったが、どうもインショア専門のお仲間の工事見本に作ったみたい。・・・仕事が早い!!

 来年の8回目の航海まであと半年、まだ色々と興味ある改造ネタが出てきそうなのでこれからもよろしくお願いいたしますよ。
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by pac3jp | 2008-11-14 09:44 | シーマンシップ  

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