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練習船「深江丸」を見学する

 神戸港の東はずれにある神戸大学海事科学部の専用港に停泊している深江丸の外観は良く見ていたが、船内の見学をする機会がなかったのだが、昨年、深江丸船長の矢野先生の「地文航法と天文航法」という難解?な講演のあと、希望者に深江丸の見学をさせて下さることになりボクも初めて見学乗船してきた。


全   長:49.95m
型   幅:10.00m 深さ:6.10 喫水:3.75m  
総 トン数:449トン    
航行 区域:近海区域

航海速力:12.5ノット    
航続距離:3,000海里  
最大搭載人員:64名(船長・機関長・士官4・部員6・教官4・学生48)

主 機 関:4サイクルディーゼルエンジン×1基  
機関 出力:最大1,100kW (1,500HP)×720rpm  
発 電 機:ディーゼル発電機(250KVA×1,200rpm)×2基・軸発電機(250KVA)×1基  
推 進 器:4翼可変ピッチ スキュープロペラ×1/直径2.10m(一軸左回り)  
横移動装置:バウスラスタ(推力1.5トン)×1・スタンスラスタ(推力1.2トン)×1
 

 見学はまず、定石とおりブリッジからとなった。画像は操舵コンソール左側に可変ピッチプロペラ(CPP)の制御レバーが見えている。


 コンソールの前面窓からリピータこしにバウ甲板を見る。


 右舷にはチャートテーブル、背後には国際信号旗の収納箱が設置されている。


 ブリッジ内後部に機関制御コンソールが設置されている。

 上甲板から順次見学し、機関室に入る。今まで行った各種船舶の見学では殆ど機関室までは見せてくれなかったがここではエンジンのそばで色んな説明を聞いている人もいた。
 ボクも500トンクラスの練習船の機関室の設備概要などの知識がないのでただ眺めていただけだったが、大型船舶などにはよく装備してあると聞いていた軸発電機があったのにはちょっと驚いた。それも主機が1,100KWなのに250KVA の軸発電機が接続されているという。
 それに機関室に立派な電力制御室があることも気が付いた。


 主機 ダイハツ 6気筒 1,100KW


 軸発電機 富士電機 3相×225V 250KVA


 電力制御室 発電機3台と非常用1台の合計750KVAの電力を統合して運用しているのでしょうか。

 船長さんに軸発電機の使用状況をお聞きすると「主に港内で使用する」との返事。港内航行で主機のパワーに余裕がある時に発電するのだろうと思っていたのだが、接岸作業にはバウスラスタやスターンスラスタを作動させるし、係留ウインチなども電気をよく喰うのでその補完かもしれないなぁ・・・とも。

 そういえば、軸発電機は推進用電動機にもなるので250KVAのDG1基の電力だけでも港内くらいは充分航行できるのだろう。そのためにパワーエレクトロニクスシステムが電力制御室にあるのだろう。
 たしかに深江丸は海事大学の練習船で学生の訓練や教材に必要な装備を搭戴しているので一般の500トンクラス船舶とは違って当たり前なのだと合点がいった。


 最後に教室で全般的なお話を聞く。今年の神大海事科学部卒業者の就職率は理系大学では全国トップの成績だったとか・・・。


# by pac3jp | 2012-01-27 12:22 | 特殊船 | Trackback | Comments(1) 

新しい南極観測船「しらせ」を見学する(3)

 海外からやってくるクルージングボートを訪問すると、彼らが過去に航海してきた地域を説明する時必ず地球儀を持ち出して教えてくれる。その地球儀が「ビニールふうせん」やボールなどサマザマで彼らの個性がでていて面白かったものでした。
 しらせのブリッジでも面白い地球儀を見つけた。


 南極大陸がよく見れるように南北の地軸が横になった地球儀で見学者に航路の説明をされている。こんな地球儀は売っているのかと愚問を発したりしていたが、地球儀で南極をグルット眺めたのはこれが初めてだった。

 そして手持ちの電子チャートでリッツォ・ホルム湾のオングル島を表示してみるとさすがに付近の物標の名称は日本語読みのものが多いのに気が付いた。画像はオングル島付近の図だが詳細図はなかったのが残念だが、▲マークが公表されている昭和基地の座標と合う。左の方に弁天島が見える。付近の水深は50mくらい。(クリックすると少し大きく見えます)


 定着氷縁から一年氷帯まで27マイルを3日で突破したが、多年氷帯の21マイルは厚い氷と積雪があるので、しらせは一回のラミング砕氷でたった10m~20mしか進出きず、10日を要しながらも弁天島をポートにみて連続砕氷が可能なオングル海峡側から昭和基地に接近したという。(H21.12)

 ←画像 ブリッジの背面にヒーリングポンプの制御盤があった。両舷に設置された燃料タンクの燃料をポンプで片方に移動させて艦体をヒールさせて砕氷する装置かなと思っているが、3万馬力で押しつぶす方が手早いのできっと停泊時の結氷対策か予備の手段でしょうね。


 しらせは輸送業務だけでなく海洋観測支援も業務のうちなので、艦体の揺れを抑える減揺タンクが装備されている。これは砕氷には関係はないが、波の高い外洋での海洋調査を実施するときに艦の揺れを抑える役目で結構大きなタンクが両舷に設置されている。


 第一甲板の左舷艦尾に小さな危険物タンクが設置されている。良く見るとスタンションの外になっていてタンクの固定装置が緊急時にはリリースされるようになっている。ナゼだろうと思い近くの乗員にお聞きすると、タンクはスノーモービル用のガソリンタンクで、しらせにはたったこれだけの量しか積載していないらしいが、火災になるとこれでも大変危険なのでタンクを海上に放棄するためにそうしてあると教えてもらった。
 確かにガソリンは重油や軽油に較べて引火性が強いので慎重な扱いだなと感心しながら自分がとってきた安易な保管方法を反省したものでした。


 飛行甲板がある01甲板にはライフボートが6隻ダビットに吊り下げられている。良く見ると吊上げウインチから舷側のスライドガードまで細いワイヤーに繋がったハンドルがついている。ここでライフボートを着水させる作業を操作するのだろうか。どうも電気がこなくても動かせるようになっているみたいなどと勝手に想像しているのだが・・・。

 どの護衛艦にも艦名にゆかりのある神様を祭った神棚がある。「しらせ」には富士山本宮浅間大社のお札が祀ってあった。
 南極観測船は宗谷が海保の巡視船だったが、その後は海自が運用するようになった砕氷艦「ふじ」からの伝統で一隻しか持たない砕氷艦の神棚は代々富士山をご神体として祀っている浅間大社になっているのでしょうね。


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# by pac3jp | 2011-10-16 15:02 | 特殊船 | Trackback | Comments(0) 

新しい南極観測船「しらせ」を見学する(2)

 左舷後部の舷門から乗艦し、一段あがって01甲板の飛行甲板にでる。すぐに大型輸送へりのCH-101が駐機している。護衛艦の哨戒ヘリ(SH-60J)よりもかなり大きい。ポートサイドを見ると窓が5枚あり乗降用のステップが下がっていて乗客もかなり乗れそうだ。スタボー側には貨物の積み込み用の大きな開口部がある。床下には大型の貨物を吊るための太いフレームパイプが見えている。輸送機なのでキャビン後部に重量物の荷役に便利なランプドアもある。

艦戴ヘリコプター CH-101

任 務:南極における人員、物資の輸送
機 体:全長 22.8m 全幅 18.6m 全高 6.6m
自 重:9.9t
全備重量: 14.5t
最大速度: 270km/h
航続距離: 約850km
最大搭戴量 :機内 3t 吊下げ 4.5t
最大搭戴人員:27名
エンジン:ロールスロイスRTM322-02/08 出力:2,150SHP×3
製 作: 川崎重工(ライセンス生産)
開発者:イギリスのウエストランド社とイタリアのアグスタ社が共同開発し、現在はアグスタ社傘下のアグスタウエストランド社が製造・販売している。

 しらせ本体と同じく文部科学省の予算で3機が購入された内の2機が搭載されている。機体は掃海・輸送ヘリコプターとして導入されたMCH-101と同一の機種で、外観的には機首と尾部のミサイル警報装置の有無程度しか差異は無い。CH-101の方はミサイル警報装置の基台だけが付いている状態である


 機体後部から見ると、ローター固定具とキャビン後部のランプドア部分が見える。
 ローター基部と2,150HP×3のエンジン部分


 ローター先端 変わった形をしている

 左右にバックミラーが付いている。ヘリには一般的についている属具かどうかは知りませんが、吊上げる貨物の具合を見るのに必要とのお返事でした。


 飛行甲板と格納庫上の管制室。


 01甲板の平面図には格納庫に大型ヘリ2機と小型ヘリ1機の計3機の収容される図になっているが説明は2機搭戴となっている。このスペースは南極観測隊が偵察等に使用するヘリのためのもので機体はその都度チヤーターして搭載されている。H21年度はオーストラリアのフリーマントルで積み込まれ帰りはシドニーで返却された。H22年度は日本でチャーターされたので全行程にわたり、しらせに搭載されていた。

 昭和基地への物資輸送に新型輸送ヘリCH-101へのパワーアップと輸送物資のコンテナ化でS-60A(先代)の2倍の輸送能力を発揮し約1週間掛かっていた本格輸送を3日で終了することができたという。

 空輸第一便を歓迎する昭和基地の越冬隊隊員たち。(H22.12)
 【平成21年度 航空輸送の実績】
 物資輸送  481.8トン
 人員輸送  1678人

 こんな光景も・・・南極の夏でもちょっと寒いかもね。(H21.12)

もし、ボクでも若い頃、その場にいたらきっとこの列に並んでいたなぁ!
・・・ホンマか?


【参考図書】:しらせ 小島敏夫著 成山堂書店

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# by pac3jp | 2011-10-09 15:03 | 特殊船 | Trackback | Comments(0) 

新しい南極観測船「しらせ」を見学する(1)

 2011年9月25日(日)、好天の神戸港第4突堤で開催された四代目の南極観測船である砕氷艦「しらせ」の一般公開に行ってきた。新しいといっても、平成21年5月の就役で、もう2回も南極観測支援の航海をしているがボクは初めての対面だった。

 砕氷艦特有のずんぐりと丸いバウを見ながら、左舷船首付近の受付で金属探知機と手荷物検査を済ませ、艦の後部から乗り込む。


主要寸法 :長さ 138m×幅 28m×深さ 15.9m×喫水 9.2m
基準排水量:12,650トン
満載排水量:20,000トン
推進方式 :ディーゼル電気推進
軸出力  :30,000馬力
推進器  :固定ピッチプロペラ2軸
最大速力 :19.5ノット
巡航速力 :15ノット
定 員  :乗組員179名、観測隊員等80名

【砕氷能力】 
  連続砕氷 :氷厚1.5mまでの氷海を強力な推進力で3ノットの連続砕氷できる。
ラミング砕氷 :1.5m以上の氷は一旦艦を200m~300m後進させ、最大馬力で前進し、最大11ノットで氷に乗り上げ、艦の自重で氷を砕く。
ちなみに平成21年11月~平成22年4月の第51次南極観測処女航海では3,414回のラミングをしたと記録されている。


新「しらせ」の特徴
1.船 体
◎砕氷する船首や喫水付近の外板部分にステンレスクラッド鋼を使用して、ラミング砕氷時などにおいて摩擦抵抗を低減。SUS部分は有害な船底塗装が不要になる。
※(ステンレスクラッド鋼とは高張力炭素鋼板にステンレス鋼板を貼り付け耐食性を上げた鋼板 JFE製)

◎融雪用散水装置の採用による冠雪抵抗の低減。ラミング砕氷時に海氷に積もった雪がクッションになり乗り上げ効果が落ちるための対策。

◎二重船殻構造に採用よる海洋汚染防止。

2.機 関 
◎ディーゼル電気推進方式による迅速な前後進切り換え
◎低速域でも高トルクを発揮する推進用電動機の採用
◎4台の発電機による統合給電方式によるライフサイクルコスト及び重量の節減。


上の図は電気推進システムの図です。(クリックすれば大きな画像で見れます。)

 4台のディーゼルエンジンが各々の発電機を回し、交流6,600Vの電力を発電し、高圧配電盤を経由して変圧器で交流1,050Vに落とし、電力変換機に入る。ここではコンバータとインバータで推進用モータの回転コントロールに必要な電圧と周波数に変換して4基のモータに供給する。そして左右2軸のプロペラが回転し船が進みます。右の画像はしらせの固定ピッチプロペラと舵板です。

 図には推進モータに接続された「バックパワー吸収抵抗器」があるがこんなものがいるんだと初めて知ったが、回生発電された電気はハイブリット車ならばしっかりとバッテリーにチャージされているのでちょっともったいない気もするが、海には下り坂や「しらせ」は帆船でもないから極まれにその状態になるのかな・・・。

 この日は機関室や操縦室などの見学は不可でコースは船首デッキから最上甲板の艦橋に上る。

 艦橋は護衛艦などに較べてさすがに広くて明るい、結構な人数が入っているがそう混雑しているほどではない。新しいフネなので航海機器も最新のようだ。気になったのは大きな艦橋窓ガラス制御箱が4面も並んでいたことだ。窓ガラスの開閉ぐらいにこんな大きな制御装置が要るんでしょうかね。でも大きな艦橋の窓は広く極地の環境ではパワーのある装置でないと窓の開閉も出来ないのかもしれない。(つづく)

【参考資料】1:砕氷艦しらせ パンフレット 海上自衛隊
      2:南極観測船と白瀬ノブ しらせ 小島敏夫著 成山堂書店
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# by pac3jp | 2011-10-02 10:10 | 特殊船 | Trackback | Comments(0) 

尖閣諸島のスクランブルとサイバー攻撃

 先月、8月末、2011年7月10日~11日に警察庁ウェブサイトがサイバー攻撃で閲覧出来なくなったが、そのIPアドレスを解析した結果、90%が中国からだったと報道された。そのきっかけは7月4日の尖閣諸島において航空自衛隊のF-15が中国偵察機に対してスクランブル発進したことに対する報復だったらしい。

 国籍不明機が自国の防空識別圏に入れば戦闘機がスクランブルするのは世界の常識なのにそれに報復するなど過剰反応だろうと思っていたが、中国の大手検索サイトの掲示板に書き込まれたサイバー攻撃の呼びかけと原因としているテレビニュースのURLには自衛隊の活動が過剰に表現された「あおり動画」が長々と写されていた。


 画像は中国のY-8型電子情報収集機。機首下部と垂直尾翼の前あるドーム内にあると思われる大型アンテナなど大小のアンテナで電子情報を収集している。
(統合幕僚監部提供)

 同機は、日中中間線付近を北緯27度付近から北緯31度付近まで飛行。その飛行パターンは7月の4日、7日の航跡と非常によく似ており、沖縄から九州西部の自衛隊や米軍の電子情報を収集したのではないだろうか。 一般的に、収集した電子情報は分析され、電子妨害や電子防御を行なう機材に設定されるとともに戦術分析に役立てられる。電子機器の高度化にともなって、電子情報は複雑化しており、定期的な情報の収集と高度な分析がなければ、電子機器への妨害や同機器からの防御の効果は低くなる。そのため、今後も同機が同空域へ定期的に飛来する可能性は高い。
(NetIB News 8/3)

 また7月31日には尖閣諸島のEEZで中国の海洋調査船がケーブルを曳航しながら航行しているのが発見された。


 ←↑ 11/07/31 尖閣沖EEZ航行中の中国の海洋調査船「北斗」
(第11管区海上保安本部提供)

 尖閣周辺のEEZで中国海洋調査船が7月31日午前7時25分ごろ、沖縄・尖閣諸島の魚釣島北北西約61キロの日本の排他的経済水域(EEZ)で、中国の海洋調査船「北斗」が、船尾からワイヤのようなものを4本ひいた状態で北西方向に航行しているのを第11管区海上保安本部(那覇市)の航空機が確認した。
 11管によると、尖閣諸島周辺の日本のEEZ内で中国の海洋調査船が確認されたのは今年初めて。水質調査などを行っているとみられ、無線で調査を中止するよう呼びかけたが応答がないという。11管は巡視船などから監視を続けている。尖閣諸島周辺では30日、中国の漁業監視船が日本の接続水域内を一時航行しているのが確認されていた。

 南シナ海の南沙諸島では中国船は他国調査船のケーブル切断など手荒な手段で権益を確保しているようですが、尖閣では海保も遠くから無線で注意するだけ?なので中国船は安心して仕事に集中しているようです。
 ちょっと前に海底資源調査船「資源」が調査中に不注意で航路を横切った自衛艦に曳航ケーブルを切断された事故がありました。この手は使えそうですが誰か・・・。

 ボクも航海中、スターンから曳いていたラインを漁船やモーターボートに切られことは何度もありましたが謝られたことは一度もなかったなぁ。

【参考資料】サイバー攻撃の呼び掛けがなされた掲示板(警察庁Webより)
 
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# by pac3jp | 2011-09-03 18:12 | 航空・宇宙 | Trackback | Comments(0) 

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